CD “Complete so far”
在りし日のヴィリー

バンドとCDについて

ザ・ブレーカーズは、ザ・ボッパーズのオリジナル・メンバーで、ドラムスを担当していたヴィリー・ヴァレン Ville Wallén(故人)のグループです。

メンバーは、ヴィリー・ヴァレン Ville Wallén(ボーカル&ドラムス)、シェル・ヴァレン Kjell Wallén(ボーカル&ギター)、Lars Westerberg(ボーカル&キーボード)、Stene Gustavsson(リードギター)、Pierre Garnbrand(ベース)の5人です。

名前で察しがつきますが、ヴィリーとシェルは兄弟です。というわけで、イングマル(ザ・ボッパーズ)と、もう1人のロニーを合わせて、ヴァレン・ブラザーズは4人兄弟だったのです。尚、ヴィリーの名前は、「Ville Björn Wallén」ですが、「Wille」表記の場合もあります。


このアルバム(左の画像)、“Complete so far”は、全8曲が収録されています。

(バック・ジャケットは、ザ・ボッパーズのアルバム“tempted”の真似っぽいですね。)

1.Hey Joe:ジミ・ヘンドリクスの演奏で有名な、Billy Robertsの曲です。

2.Keep On Running:イギリスのバンド The Spencer Davis Groupのカバーです。

3.Hey Baby:ザ・ボッパーズもカバーしているブルース・チャネルの曲です。

4.Stand By Me:ベン E. キングの超スタンダード・ナンバーです。

5.Tutti Frutti:これも、オールド・ロックンロールの超スタンダードです。

6.W'll Stop The Rain:Creedence Clearwater Revivalのカバーで、イングマルがギターで参加しています。尚、ジャケットの表記は「Who'll」ではなく、「W'll」になっています。

7.Breaking Up Is Hard To Do:ニール・セダカのカバーです。

8.Twist'n Shout:これも有名な曲ですね。ちなみに、ザ・ビートルズ版がオリジナルではありません。


全曲がカバーの本作を聴いた印象ですが、ザ・ボッパーズのようなポップな感じはなく、ヴィリーが自分の好きな曲を選んで、仲間内でセッションしているといった風です。

残念なことにヴィリーが亡くなったので、グループの活動も本作限りのようです。オリジナルCDの入手はまず無理という、超激レア盤です。


2003-11-26

ヴィリーは1958年5月26日生まれで、兄のイングマルと同じくストックホルム北西部のハッセルビーに生まれ育ちました。イングマルがドラムスを叩いていた頃、ヴィリーはギターを弾いていましたが、後にドラムスの演奏にも関心を示し、イングマルからドラムセットを買い取って、ドラマーになりました。

1977年のザ・ボッパーズ結成以来、ドラムスを担当していましたが、1982年に兵役のため脱退しました。メイン・ボーカルの曲は、‘Tick Tock’です。

そして、2003年11月26日に急性心不全で亡くなりました。享年45歳。

来日コンサートで張り切ってドラムスを叩いていた姿が思い出されます。合掌。


さて、彼の死亡記事は、地元スウェーデンで最高部数の夕刊紙「アフトンブラーデット Aftonbladet」のウェブ版で確認できます。

この記事によれば、ザ・ボッパーズはヴェストラ・ヨータランド県ヨーテボリ市の大劇場で、12月20日までジェリー・ウィリアムズ Jerry Williams(長いキャリアを持つスウェーデンのロックンロール・キングで、ザ・ボッパーズとは1978年以来、競演が多い。)や、元メンバーのピーターと一緒に、「ジャーク」というショーを行っていたのですが、ヨーテボリ市に向かう列車の中で訃報を受けたとのこと。

「しかし、全員が訃報に関わらずショーを行うことで一致した。それがヴィリーに敬意を表する方法だった」とあります。

そして、ショーの後での悲観に暮れたメンバーのコメントです。

イングマル(実兄):「悲しみを言葉では表せないよ。弟は数年前に心臓手術を受けていたんだけど、あいつは突然逝ってしまった」

ケネス(ヴィリーの後任ドラマー):「みんなが今夜、辛く重い気持ちです。ヴィリーは良き友人で素晴らしいドラマーでした」

ピーター(元メンバー):「彼はチャーミングでした。私たちは彼と一緒にいて、とても楽しかったです。日本には3回行ったし、あとヨーロッパにも。私たち全員が、ヴィリーが亡くなったことを信じられません」

マッテ(声を落として):「みんなにとって大変なことだけど、一番辛いのは兄貴のイングマルだよ。とにかく彼を慰めなきゃ」


この年、4人兄弟の内、1人を亡くしたヴァレン・ブラザーズは追悼のメモリアル録音をしました。歌は、映画『オズの魔法使い』の挿入歌の「虹の彼方に」‘Over The Rainbow’です。アコースティック・ギターの伴奏で、3人のハーモニーにも情感が篭っています。


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